キャリアの中で、複数回の転職をする人も当たり前の時代となりました。それだけ人材の流動性が高まる環境の中、意識したいのが「市場価値」です。

転職予定の有無に関わらず、誰もが自身の「市場価値」を把握し、価値を高めるための行動が求められています。

今回の記事では、市場価値を構成する要素、企業が定義する市場価値の高い人、価値を高める方法についてご紹介します。

市場価値とは、自分を商品と考えた時に世の中においてどれだけの価値があるか、ということです。

市場価値が高いと好きな時に転職が可能となるため、1つの企業に依存することはありません。つまり、いつでもどこでも働くことが可能といえます。

ただし、市場価値は企業の採用ニーズにマッチしているかも重要となるため、需要と供給のバランスで変動します。需要の高いスキルやキャリアがあるほど、市場価値も高くなるということです。

自己のキャリアを振り返り、どんなスキルや強みがあるのかを可視化しましょう。

より客観的なデータを求めるのであれば、転職エージェントや人材紹介会社を利用するのもひとつの方法です。

転職サービスを利用することで、効率的に自分の市場価値を知ることができます。無料テストや登録を通じて、多角的な視点からフィードバックを受けられます。

解雇規制が厳しい日本では、すぐに職を失うリスクは少ないかもしれません。

しかし、新型コロナウイルスや突然の災害など、自分ではコントロールできない急激な変化で会社がなくなり、仕事を失う可能性は誰にでも起こりえます。

だからこそ、不確実な未来に備えて、転職を希望するしないに関わらず働く誰もが市場価値を高める必要があるのです。

また、働き方が多様化するなかで、成果主義を導入する企業も増えてきました。

成果主義の傾向が増えてくると、市場価値の高さは成果の高さで測られるようになります。つまり、現在社内で成果を出している人の市場価値は高くなるということです。

市場価値は、以下4つの要素で構成されます。それぞれについて確認し、自らの市場価値を考える際の参考にしてください。

まずは、これまでの経験です。たとえば、ITエンジニア歴10年のAさんと、営業パーソン歴9年・ITエンジニア歴1年のBさんがいるとします。

2人ともITエンジニアとして働ける仕事を探しており、ITエンジニアの経験者を募集する同じ会社に出会いました。その会社にとって、市場価値が高いとされる人物はどちらになると思いますか？

当然ながらITエンジニア歴が長いAさんですよね。なぜなら、一般的に業務経験歴が長いほど、業務レベルや対応力が高いと判断されるためです。

もちろん現実の転職市場では経験だけで採用の合否が決まるわけではないため、これほど単純ではありません。

しかし、過去に「どんな業界・会社で」「何を」「どの程度」経験してきたのか。その人が持つキャリアが市場価値を構成するひとつであることは間違いありません。

続いては、能力。スキルとも言い換えられます。また能力を可視化するものとして所持している資格も当てはまります。

ビジネスの現場においては、対人能力、課題解決能力、マネジメント能力などが基本的に求められる能力といえるでしょう。

そのほか、業種や職種に応じて業務を円滑に進めるためのスキルが求められます。

実績も、経験や能力と同様に市場価値を構成します。

とくに、あなたが中心的な役割を果たし達成したプロジェクト実績ほど価値は高いといえるでしょう。なぜなら、「ただ参加しただけ」、「指示通りに動いただけ」では十分な実績とは見なされないからです。

これまでに参加し、主体的に関わり、実績を上げたプロジェクトを可視化してみましょう。営業職などであれば、売上や利益など、具体的な数字があるとなお説得力が増すはずです。

専門性は、特定分野での経験が長いほど、高まるものです。

例えば、医療機器の営業歴が長い人ほど医療機器に関する専門性が高く、スポーツ用品の営業歴が長い人ほどスポーツ用品に関する専門性が高くなります。

ある程度の時間をかけることで、どんな人でも高められるものです。

ライバルが少なく、かつ社会的価値の高い分野で専門性を磨くほど、希少価値が高まり、転職市場でも価値を高められます。

では、企業側が定義する市場価値が高い人を、端的に言ってしまえば「環境を変えても発揮できる実力がある人」となります。

ここでいう「実力がある」とは、上記で紹介した経験、能力、実績、専門性のほか、知識や人間的な魅力などを含みます。

ただし、注意しなければならないのは、他の会社や業界に移っても実力を発揮できるだけの根拠があるかどうかです。

経験があり能力も高く、社内で一番の実績を叩き出している人がいたとしても、それが自社内でしか通用しないのであれば、意味がありません。

つまり、他へ行っても発揮できる実力を持っているかどうかが重要なのです。

市場価値の向上は転職において不可欠です。市場価値を高めることで、多くの企業から求められる人材になり、転職先の選択肢が格段に広がるからです。

逆に、未経験者やスキルの低い人は残念ながら限られた求人しか手に入らない可能性が高いといえます。

そして、市場価値が高くなるほど、転職後の待遇面でもメリットを受けやすいでしょう。

企業側は、常にレベルの高い人材を探しており、そういった人材には高い給与や福利厚生を提供するからです。

年収アップが狙えるのは、市場価値の高さが需要に対して供給が少ないことの証といえます。

さらに、会社にとって欠かせない存在となれば、企業も簡単に手放しません。つまり、キャリアの安定にも直結します。

市場価値を高めることが理想のキャリアアップに繋がります。自らの価値を高め、転職を成功させましょう。

市場価値向上のためには、以下4つのポイントを意識してみましょう。

①年代別に意識することを変える
20代は能力、30代は経験を積むことが鍵です。

業務を重ねることで経験も蓄積されていくので、市場価値が向上します。

②実績はロジカルに伝える
転職活動で実績を伝える際には、根拠と論理が必要です。

結果だけでなく、自らの行動や考え方を論理的に説明しましょう。

③相対評価で冷静に分析する
常に相対比較で市場価値を見つめ直し、他のビジネスパーソンとの差別化を意識しましょう。

同世代や同職種の人たちと比較し、相対的な価値を可視化してみてください。

④求められる能力を見極める
現在の市場で求められる能力を見極め、努力して向上させることが必要です。

テクノロジーの進化に合わせて、需要のあるスキルを身につけ続けましょう。

転職を成功させるには市場価値を知ることが第一歩です。自分なりに分析してみることも大切ですが、やはり客観的な意見をもらうことも重要です。

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